状態の種類-単相、二相(蒸発、凝縮、固液体)(ガス・液体)
物質の均一な部分のことを相といいます。特にその部分が気体で占められていれば気相 、液体であれば液相 、固体であれば固相といいます。また、単一の相から構成されている流れを単相流といい、単相流以外の流れは混相流と呼ばれます。
混相流にはいくつかの種類があります。例えば、流れる水が空気を巻き込むと、水と気泡が混在した流れになります。このような流れは気相と液相の二相から構成される流れであるため、二相流といいます。特に気相と液相からなる流れは気液二相流と呼ばれます。
同様に、三つの相を含む流れは三相流といいます。例えば、気相、液相、固相を含む流れであれば固気液三相流となります。
また、水と油のように同じ相であっても、両者が明確に分離する場合には二相流として扱われ、液液二相流と呼ばれることがあります。
蒸発、凝縮の原理(潜熱や顕熱)
蒸発・沸騰・気化と似たような言葉がありますが、厳密には意味が異なります。
【蒸発】液体または固体がその表面において気化する現象です。
【沸騰】液体を加熱したとき、その蒸気圧が液体の表面にかかる圧力よりも大きくなると、内部から気化が生じる現象です。
【気化】物質が液体から気体に変わる現象で蒸発と沸騰があります。液体から気体に変わる現象全体を「気化」と呼び、蒸発・沸騰もそれに含まれます。沸騰は内部から気化する現象であり、蒸発は表面から気化する現象です。
身近な事例
湯から沸き立つ湯気は、お湯の液面から蒸発した温かな水蒸気が空気中で冷え細かな水滴になり、白く見えます。このように大気圧下で水は100[℃]を超えなくても蒸発は起こります。お風呂の湯気も同じ原理であり、蒸発は水がどのような温度でも起こり得る現象です。
洗濯物が乾く現象も水が蒸発しているためです。大気圧下で水が100[℃]を超えなくても蒸発が起こっています。
沸騰すれば蒸発が起こりますが、目には見えづらいだけで沸騰する前から蒸発は起きています。
沸騰の分類は下記に分けることができますが、プレート式熱交換器においては下記の図の流動・伝熱様式があります。
蒸発
液体状態の原子あるいは分子が十分なエネルギーを得て気体の状態になることを蒸発といいます。化学プロセスにおいては、混合溶液から溶媒を気化させ、溶質を濃縮、または結晶を析出する操作のことも蒸発といいます。
液体からの蒸発は沸点以下の温度で起こり、蒸気圧が飽和蒸気圧になるまで続き、液相平衡に達します。
温度が沸点に達すると、液体内部からも気化(沸騰)が起こります。蒸発に際して、物質は周囲から潜熱(蒸発熱、または気化熱)を吸収し、液体の表面張力に打ち勝つ熱運動エネルギーを持つ分子は蒸発することができます。
日常的な例では、打ち水により撒いた水が蒸発するときに周囲からの熱を奪うため涼しくなります。
蒸発は液体の温度が高く、表面張力が低いほど速く進行します。
凝縮
気体を所定の温度以下に冷却、または放熱させながら圧縮すると液体になります。つまり、凝縮は蒸発とは逆の変化であり、気体が液体になることです。
気体は気体中に浮遊している微小な塵、イオンなどを核にして液滴を形成し凝縮し始めます。但し、核となるべきものがない場合には、急激な冷却によって著しく飽和の状態を超えなければ凝縮は起こらず過飽和の状態となることが多いです。
日常的な例では露、霧、雲などは大気中の水蒸気が凝縮して水滴となったものです。
潜熱
加熱しても物体の温度は変わらず『相変化』として現れる場合をいいます。
(物体は個体、液体、気体に3分類でき、このような状態を『相』といい、相が変化する事を『相変化』といいます。相変化には融解、蒸発、凝縮、凝固、昇華があります)
「温度計では測れない熱が潜熱」です。
顕熱
ある物体に熱を加えたときそれが物体の温度上昇/下降となって現れるような熱をいいます。
ポイントは「温度計で測ることができる熱が顕熱」です