圧力損失(せん断応力)
熱交換器における圧力損失とは、流体が熱交換器内を流れる際に発生するエネルギーの損失です。この損失の要因は、流路の壁面で発生する流体の摩擦損失や、流体がヘッダーと各流路の間で流出入する際の分岐・合流損失です。
流路の壁面で発生する流体の摩擦による圧力損失ΔPは次の式で表されます。
- 乱流の場合
ΔP=f・[(4・G2・L)/(2g・ρ・De)]
f=(ΔP・2g・ρ・De)/(4・G2・L)=α・Re-β - 層流の場合
ΔP={(32・μ・G・L)/(g・ρ・De2)}
f=16/(De・G/μ)=16・Re-1層流では壁面部において流体は静止しているため、壁面の粗滑に影響されません。
ΔP:圧力損失[Pa]
f:摩擦係数[-]
G:質量速度[kg/m2・s]
L:長さ[m]
g:重力加速度[m/s2]
ρ:密度[kg/m3]
De:相当直径[m]また、熱交換器に生じる圧力損失は流路の壁面に流体の流れ方向に沿った、せん断応力τ[Pa]を発生させます。
このせん断応力τは物体にかかる外力P[N]と物体の断面積A[m2]を用いて表されます。 - せん断応力(基本式)
τ=P/A
上の基本式を熱交換器に生じる圧力損失を用いると、次のようにあらわされます。
- せん断応力(円管の場合)
- せん断応力(円管以外の場合)
τ・π・d・l=ΔP・π・d2/4
τ=ΔP・d/(4・l)
π:円周率[-]
d:円管の直径[m]
l:円管の長さ(伝熱面の長さ)[m]
τ = ΔP・De/(4・L)
De:相当直径(等価直径)[m]
L:伝熱面の長さ[m]
せん断応力が高いほど、流路の壁面に流体の汚れが付着しづらくなるため、汚れにくさの指標として用いることがあります。