材質
ステンレス
ステンレスとは鉄(Fe)を主成分とし、クロム(Cr)を10.5[%]以上含む合金鋼です。ステンレスは英語で「Stainless Steel」と書きますが、その名の通り錆びにくく、非常に高い耐食性を有しているため、様々な場面で使用されています。高い耐食性を有しているのは、ステンレス表面に不動態皮膜と呼ばれる保護膜があるためです。この不動態皮膜はステンレスに含まれるクロムと大気中の酸素が反応することで形成されます。不動態皮膜は厚さは1~3[nm]になります。不動態皮膜は、ひっかき傷などで一部が破壊されたとしてもすぐに再生する性質があります。しかしながら、塩素イオンなどのハロゲンイオンが高濃度で周囲に存在すると不動態皮膜が局部的に破壊されてしまい、母材金属が腐食してしまいます。
ステンレスは金属組織から大きく4つに分類されます。
金属組織(常温) | 特徴 (※1) | 結晶構造 | 成分系 | 用途 |
---|---|---|---|---|
マルテンサイト | 耐食性は低め 硬質 磁性あり |
体心立方格子 | Cr系ステンレス鋼 | ボルトナット、 ネジ、刃物他 |
フェライト | 耐食性は高め 軟質 磁性あり |
体心立方格子 | Cr系ステンレス鋼 | 厨房用品、手すり他 |
オーステナイト | 高耐食 加工性良い 磁性なし(※2) |
面心立方格子 | Cr-Ni系ステンレス鋼 | 自動車部品、 原発用装置他 |
オーステナイト ・フェライト二相 |
フェライトと オーステナイトの 中間の性質 |
面心立方格子 体心立方格子 |
Cr-Ni系ステンレス鋼 | 化学プラント用装置他 |
※1 表記は一般的な特徴を記載している為、鋼種によっては適当でない場合があります。
※2 常温でプレス成型などの加工をした場合、マルテンサイト変態して磁性を持つ場合があります。
オーステナイト系ステンレス
主成分をクロムニッケル系とするタイプがこのオーステナイト系ステンレス鋼です。代表鋼種としてSUS304、SUS316、SUS316Lなどがあり、プレート式熱交換器のスタンダードな材料です。ニッケルとクロムが合わさることで、ステンレスの最も特徴的な要素でもある表面の不動態化皮膜の密着力がさらにあがるため、錆に強くなり、耐熱性も高まります。
【SUS304】
18[%]のクロムと8[%]のニッケルを含んでおり、耐食性、加工性、溶接性などに優れています。家庭用品から工業用品まで最もよく使用されるステンレスです。
チタン
材料として汎用性が高く、軽さ、強度の高さ、錆びにくさが特に優れています。ステンレスなどは海水に触れると錆びてしまいますが、チタンは錆びません。比重もステンレスが約7.9に対し、チタンは約4.5であり、ステンレスに比べると非常に軽いです。これらの特徴よりプレート式熱交換器はもとより、工業をはじめとした様々な場面で使用されています。チタンは大きく、「純チタン」と「チタン合金」に分けられます。
純チタンは、成分(O,Feの含有量)、機械的性質から1種(TP270)、2種(TP340)、3種(TP480)及び4種(TP550)の4つに分類されます。1種は4種類の中で最もO,Feの含有量が少なく、最もやわらかいチタンであり、2、3、4種の順に硬くなります。チタン合金は、その名の通りチタンを主成分とし、アルミニウム、クロムなどを加えた合金です。軽量で強度がきわめて高く、耐熱性・耐食性に優れ、航空・宇宙用素材や自動車・船舶などに利用されています。